白羊宮
みなさんようこそ、「言葉の聖域」へ。今回担当の、牡羊座のムウです。
こちらのコーナーの入り口でも述べられていましたように、こちらのコーナーでは私たち黄金聖闘士が最近めっきり
見かけなくなった言語表現や、知っていると便利な言葉などについて少々解説を試みてみたいと思います。
…私の予測では、間違いなく処女宮あたりでは「仏教用語」の解説になりそうな気がいたしますし、
同様に天秤宮では間違いなく「故事成語」の解説になるでしょうし、
更に言えば宝瓶宮あたりでは外来語の説明になるような予感がしますよ。
コホン、まあ、それはこっちに置いておいて、早速今回の私の授業を始めましょう。
今回は最初ということもあり、まずは簡単なものから始めようと思います。
今日は「遠謀深慮」です。…まさに私にぴったりの語句ですね。(ニッコリ)
「深謀遠慮」とも「遠慮深謀」とも表現するそうです。
なんだか此処まで来ると並び替え順列のように何パターンも表現できそうですね。
蛇足ですが管理人は銀英伝で目にしたのが最初のようで、その時の表現が「遠謀深慮」だったので
ずっとそれを使っているそうです。
「謀」は「はかりごと」で、前もって考える計略や計画などを示します。
「慮」は「おもんぱか・る」「おもんばか・る」と読み、よく考える・おちなく思いめぐらすことを意味します。
「慮る」に似た用語として「惟みる」(おもん・みる)という表現があります。
こちらも「よく考える・熟考する」という大体同じ意味です。
そして、この「深」も「遠」もこの場合は直面している事態の「遠い先・遥か先」を指します。
つまり「遠謀深慮」(「深謀遠慮」「遠慮深謀」)とは「深く考えて計画し、将来のことまで思い巡らす事」
を意味する熟語です。
…なにをするにしても、現状や相手の事を良く把握し、その上で先々の行動をシミュレートした後実行に移すべきである、
という事です。
…私にとっては最早言うまでも無く当然のことですが、どこかの筋肉獅子には無縁の言葉かもしれませんね。
ましてや「大人しくなどしていられるか!」と言って自分の持ち宮を飛び出して来た男もですよ。
…そう考えると私、よくもあの2人とアテナ・エクスクラメーションを組めたものですね。
更に付け加えると、「遠慮」とは「先の先まで思いめぐらせること」を意味します。
これが転じてよく使う「控えめなこと・辞退すること」の「遠慮」になったようです。
…石橋を叩いて渡らない、というのが極意なのかもしれませんね。
サボっているわけじゃないですよ、あくまでも。
この語句を使った例文を作ってみましょうか。
いいところにドラゴンが歩いてきました。ちょっと彼に手伝ってもらいましょう。(紫龍を手招き)
(5分後)
紫龍:「ムウ。あなたはどうしてサガの正体を知っていながらみすみす白羊宮を空けるような真似をしたのですか?」
ムウ:「13年前、幼少の身といえど、私には判っていたのです、サガの正体が。
…そして彼が聖域を掌握した後、一体どうするか、ということも。
勿論、彼のその思惑を破る人物がいつか現れるということもね。
ですから、私は一人、修行地であるジャミールに隠棲することにしたのですよ。」
紫龍:「…成る程、ムウ、あなたは密かに遠謀深慮を巡らせていたのですね。」
ムウ:「そうです。あなたたちも、目先の事態にだけ捕われず、常に先の事に思いを致さねばなりませんよ。」
紫龍:「はい、ありがとうございます、老師。」
ムウ:「…私は老師ではありませんよ、紫龍。」(にっこり)
紫龍:「……う!」(汗)
…如何でしたでしょうか。大体このように使って頂いて間違い無い筈です。
「遠謀深慮(遠慮深謀・深謀遠慮)を巡らす」と使うパターンが多いでしょう。
後は普通に名詞扱いで「紫龍はムウの遠謀深慮に驚いた」のように使っても可です。
併せて「慮る」「惟みる」も気軽に使って見ると良いでしょう。
…それにしても、私の一体どのあたりが老師に見えたのでしょうね、ドラゴン…。
まあ、良いでしょう。本日の私の授業は此処までです。次の金牛宮にお行きなさい。
次にこの白羊宮でお会いできる日を楽しみにしていますよ。
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