ROUND 6.8  六日目(4)  サントリーニ島→アテネ







9月20日(月)







      <さらばスニオン岬、海底神殿よ今度こそ・・・!>


   さて、岩牢のある断崖から這いずり上がって来ると、あたりはすっかりロマンチックな夕暮れ時。
   夕日を受けて陰影を生み出す白亜の神殿の周りには、かなり沢山の人たちが何時の間にか沸いていました。
   う――む、みんな此処で愛を囁くわけですか…。(笑)
   時計を見ると、6時を過ぎています。
   バスは6時半には出てしまうので、その前にちょっと神殿の写真を撮って………と。


   んん?
   管理人、自分の手元をまじまじと見遣りました。
   管理人が妙な表情をしているので、海里君が「どうした?」と尋ねます。


   …そう言えば、私、岬に来たときはコーラとDVDの入ったテイクアウト用紙袋を手に持っていた筈………。
   あれは一体どこへ…?(汗)


   管:「私さぁ…、確かコーラの紙袋持ってたよねぇ?」
   海:「…そう言えば!どこにやったんだ、アレ?」


   記憶の糸をゆっくり辿ってみることにした管理人。

   さっき、断崖の下に下りた時にはもう持っていなかった…。
   神殿の南側でバカ写真を撮った時は………持ってなかった。
   じゃあ、最初に神殿の西側で「スニオンの先端でサガを叫ぶ」な写真を撮った時は…?


   管:「西側の低木地帯かも…。」


   慌てて二人、断崖と逆側の低木地帯に走りました。(笑)

   …しかし、写真を撮るために荷物を放置した場所をしらみつぶしに探しても、紙袋の姿は無し。
   (注:鞄を放置しては危険です。…とは言え、スニオン岬やクノッソス・古代ティラなどの瓦礫には概してスリすらもいませんが。笑)
   管理人のコーラ&DVDは……海底に消えた?








   管:「ポセイドンにコーラお供えしちゃったよ………!」(笑)








   ジュリアン、ひょっとしてダイエットコー〇がお好きなのでしょうか?(笑)
   今頃、海底神殿でジュリアンがコーラ片手にDVDを堪能しているかもしれません。
   しかしまあ、何と言っても未開封のコーラとDVDですし、誰かが持って行っちゃったのかな…。(汗)


   マヌケな物体を神様に供えてしまった管理人、そのまま神殿を出てタベルナ&お土産屋に直行しました。
   帰りもまたバスに二時間以上揺られる訳ですから、先にトイレを済ませ、ちょっとだけ土産物屋を覗きました。
   …が、時間が無いので今回は何も買わずに通過。


   バス乗り場に回ろうとタベルナの裏手に出ると、小さい売店を発見。
   バスを待つ間に何かちょっとしたおやつを食べようかな、と思って覗いてみると、アイスの冷ケースがありました。
   このあたりの規格は日本もギリシャも同じようです。
   実は、今まで訪れた先でもスタンドにアイスの冷ケースが置いてあったので、一度は食べてみたかったのです、
   ギリシャの市販アイス。(笑)
   小腹にたまりそうなジャイアント〇ーンもどきのチョコアイスをゲット!御代、1.5ユーロ也。
   日本よりちょっと高いかもしれませんね。


   アイスのパッケージを剥き剥きバス乗り場に向かい、フェンスに背中をくっつけてアイスにかぶりついてみました。
   …おお、美味い!チョコアイスも濃厚でおいしい…!
   このアイス、「Δελτα」と言うメーカーの製品でした。
   今までスタンドで購入したヨーグルトや牛乳も大概このメーカーのものだったので、国内大手の乳製品メーカーのようです。
   コーンの底は例によってチョコが固まりになっていました。美味!



   アイスのパッケージをゴミ箱に捨てたところで、バスがやってきました。
   我々の待つ高台のバス乗り場まで乗り付けると、中からわんさかと人が降りてきました。
   多分、これから日没を楽しみに来たのでしょう。やっぱりみんな白人さんでした。
   (スニオン岬でもアジア人には殆ど遭遇しなかったです。…普通の東洋人はこんなとこまで来ないか、やっぱ…。笑)


   バスが空になったのを見計らって、入り口の脇に立っていた運転手と思しきおじさんに「Go to Athen ?」と訊ねてみたところ、
   おじさんはまるで英国の執事の如く、胸に片手の掌を当て、
   もう片方の掌でバスの入り口を指し示して「どうぞ」と微笑みました。
   …ス、ステキだ…!おじさん、グッジョブ!(笑)
   我々もつられて笑いながら、早速乗り込んで一番前の席をゲットしました。
   勿論、帰りも海が見えるように今度は左側の席です。



   定刻6:30、バスはスニオン岬を出発。
   まだ日没まで時間があるからでしょうか、バスは行きのように満員ではありませんでした。


   神殿の白いシルエットが二人の視界から少しづつ遠ざかって行きます。
   …カノンよ、今度はもっと時間を掛けて無事(?)救出してやるからな…!(違)

   これから75kmの長旅がまた始まります。


   バスが走り出してすぐ、切符売りが回ってきました。
   行きのロス兄さんに比べ、今度は頭頂部の将来が気に掛かるおじさんでした。
   お一人様4.3ユーロ也。


   バスは行きと同じ道路を逆に辿っているようです。
   視界の左側には海・海・海。
   水平線のかなり近くまで太陽が沈んでいるその光景は、バスの乗客全員を魅了します。
   夕日に染められて、黄金色に色付くエーゲ海とアッティカの大地。
   神殿から見る夕暮れに劣らず、バスからの風景も素晴らしい…!


   しばらく黙って夕日を見ていた二人でしたが、やがてどちらとも無くデジカメで夕日を撮り始めました。


   管:「どっちがより綺麗な夕日を撮る事が出来るか、勝負だ!
   海:「受けて立つ!


   …結果は、管理人の勝利…?
   光彩の美しい写真をバッチリカメラに収めました。
   …って、どっちみちバスのガラス越しなんですが。(笑)







綺麗

アポロコーストから、エーゲの夕日。








   また暫くすると、例の内陸の街に入りました。
   「アイオロス看板」の話は海里君にもしていたので、二人でばっちりカメラを構えます。
   よし…もうそろそろか…?


   いくつものカーブを曲がって、気が付くとまた視界の前方にが。
   …アレ?ひょっとして通り過ぎた…?(汗)


   すみません、結局「アイオロス看板」は捉えられませんでした。(涙)
   …辺りがいいかげん薄暗かったのもあるんですが…。(笑)
   地図を見る限り、多分この内陸の街は「Vari」と言うところではないかと思います。
   次に行かれた方、是非看板を激写してください!



   8時を過ぎると、流石に辺りは真っ暗。
   右手に見える海もライトで照らされたビーチくらいしか目に付きません。
   しかし、管理人は見逃しませんでした、そのビーチを!


   管:「あっ!!今のビーチ、看板に『Marina』って書いてあった!!」
   海:「何ィ!」(笑)


   ぷちまとめ:アポロコーストには海闘士営業のビーチ有り。絶好調営業中。(?)


   しばらく続いた海沿いの道も、9時が近付くにつれてアテネの街中の喧騒に溶け込んで行きました。








      <エンドレスナイト・アテネ@>



別窓にしたほうが良いのか・・?

南からアテネに帰ってきました!地名の連打で申し訳ありません。





   午後9時前、バスはアテネの中心部に入りました。

   南から中心部に入ったバスは行きと異なり、フィレリノン通りやスタディウ通りではなく、アマリアス大通りを北に走ります。
   (アマリアス大通りは、もう少し北上すると「パネピスティミウ通り」と名を変えます。)
   右手にゼウス神殿ハドリアヌスの門が見え始めたあたりで、二人でちょっと話し合います。


   管:「今日の晩飯は、プラカ(地区)あたりでどう?」
   海:「良いんじゃない?じゃ、どうする?」
   管:「そうさね――。多分、このバスこのまま乗ってると考古学博物館まで行っちゃいそうだから、
     ここらあたりで降りる?」
   海:「うん、そうだね。」


   プラカ地区のタベルナ集中地帯は、ハドリアヌスの門の対岸をちょっと西側に入ったところにあります。(地図参照)
   今、バスが思いっきりハドリアヌスの門を通り過ぎてしまったので、次のバス停で降りてちょっと戻る事にしました。
   日本のバスと同じような、あの「降ります」ボタンを押します。


   バスは次の停留所「シンタグマ広場」で停まりました。
   後は、対岸に渡って(注:ギリシャは右側通行)この通りをちょっと元に戻り、適当に脇道に入ればプラカ地区に着くはず。
   勢い良く二人はバスを降り、バスの進行方向と逆方向に一歩踏み出しました。



   …と、この時、我々の進行方向のちょっと先に3人組のポリスのお兄ちゃんが歩いていました。
   ギリシャのポリスのファッションは二種類。
   一種類は日本の警察官と似たような、薄い水色のワイシャツにネクタイ、濃紺のスラックスに制帽。
   もう一種類はカーキのTシャツに更に濃いカーキのダボズボン、そして足元はブーツ。
   このお兄ちゃんたちは後者でした。
   一見、ポリスと言うより軍人さんぽいファッションですが、よ―く見るとTシャツの胸元に黒い字で「Police」と書いてあります。
   そしてこのタイプのポリスは、みんな若いお兄ちゃんのようです。


   う―――ん、やはりこちらの方がこう言うファッションをなさると、非常にサマになりますな…!(嬉)
   日本人とは骨格が違う。(笑)胸板が厚く、足が長い!


   管理人と海里君が歩きながら「流石は聖闘士発祥の地、やっぱカラダが違うね――。」と小声で話していると、
   向こうの話し声も僅かに聞こえてきました。
   たまに振り向きながら、何やら会話の中に「Ιαπωνεζα」(ヤポネザ:日本人女性)と言う単語が混じっています。


   管:「…う――む、どうやらなんらかの話題になっているようだよ、海里君。」
   海:「えっ!?ホント!?」
   管:「日本人、珍しいのかな。やっぱ。…クレタに比べたら格段多いとは思うんだけど。」



   案の定、次の角の所で彼らがこっちを向いて待っていました。
   一人がお決まりで「May I help you?」と話し掛けて来ました。(笑)
   「いや、思いっきり対岸に渡って飯食べに行く途中なんですけど。」とツッコミをいれようか
   管理人が考えているうちに、他の一人が「ザピオンに行かない?」と持ちかけて来ました。
   この角、丁度ザピオンの入り口に当る場所だったようです。


   タベルナは超深夜まで絶好調営業中なので、時間を気にする必要はありません。明日も移動日ではないですし。
   折角だし、ポリスのお兄ちゃんたちにザピオンに連れて行ってもらう事にしました。


   アマリアス大通りを東に入り、ザピオンまでの広い道を5人で歩きます。
   道々、3人は入れ替わり色々尋ねてきました。(勿論英語)
   どこから来たの?と訊かれたので「日本だ」と答えると、お兄ちゃんが「日本語に興味があるからちょっと教えて」と言います。


   お兄ちゃん1:「『Good morning.』は日本語で何て言うの?」
   管:「『おはよう』」
   お兄ちゃん1:「『オハヨウ』?」
   管:「そうそう。」
   お兄ちゃん2:「じゃあ、『Hello.』は?」
   管:「それは、『こんにちは』」
   お兄ちゃん2:「『コ…ニチハ』?」
   管:「『コ・ン・ニ・チ・ハ』
   お兄ちゃん2:「コンニチハ」
   管:「…で、『Good evening.』は『こんばんは』ね。」
   お兄ちゃん3:「『コンバン…ハ』」
   お兄ちゃん1:「『Hello』が『コンニチハ』で、『Good morning』は『オハ…ヨウ』、で『Good evening』が………
   うわぁぁぁっ、混乱するぅ!!



   お兄ちゃん1が頭を抱えてシャウト。全員で大笑いしました。
   すっかり打ち解けてきたところで、何故か年齢を聞かれました。(笑)
   管理人と海里君が正直に答えると(笑)、「ええっ!もっと若く見える!アジア人は年齢不詳だ。」とお兄さん驚愕の眼差し。

   …やった!昔から色んな意味で『いとねびて』いた管理人、生まれて初めて実年齢よりも若く見てもらったよ…!(爆笑)
   いや、しかし、こっちの人はやはり老化が早いみたいです。



   朝の散歩にも丁度良さそうな通りを暫く歩いていると、行く手にライトアップされた巨大な建物が見えてきました。
   あれがどうやらザピオンのようです。


   ザピオンは、近代オリンピックのアテネ開催に尽力したザッパス兄弟の出資によって、1878年に作られた建物。
   ネオクラシック様式が美しいこの建物は、国際会議場などに使用されているとか。
   ちなみに、設計はドイツ人建築家のハンセン氏。
   …もっとも、今日はもう閉まっているので、中に入る事はできません。
   「僕のオススメは、すぐ隣にある国立庭園だね。…でも、こっちも今日はもう終っちゃってるんだけど。」と
   お兄さんが笑いながら教えてくれました。
   9時過ぎじゃ仕方ありません。(笑)


   「この後、どこに行くの?」と訊かれたので管理人が「プラカ地区で夕飯を取る予定です。」と伝えると、
   「じゃあ、さっきの大通り(アマリアス大通り)まで戻って、シンタグマ方面にちょっと歩いて、
   エルムー通りからミトロポレオス大聖堂を通ってプラカに入ると良いよ。」と教えてくれました。(地図参照)
   …えええ!?そんな遠回りしなくてもショートカットできるじゃんと思ったのですが、どうせ時間があるし、
   明日の下見も兼ねてエルムー通りからプラカ地区に入ることにしました。


   さて、ザピオンの前に着くと、同じ格好のポリスのお兄ちゃんが向こうに沢山集まっていました。
   どうやら此処は警備か何かの集合場所になっているようです。
   折角なので一緒に写真を撮ろうと思ったのですが、「職務中の写真撮影はタブーなんだ。」とお兄さんがすまなさそうに言いました。
   彼らも目の前のポリス軍団に合流する様子でしたので、此処でお礼を言ってお別れしました。

   ありがとうよ、お兄ちゃん達!なかなか楽しかったぜ!
   …あっ、管理人、思わず手を振っちゃった
   「パー」を見せてはイカンのに…!(汗)
   う――む、身に付いた仕種ってなかなか厄介ですね。