ROUND 3.6 三日目(3) クレタ島終日フリー
9月17日(金)
ヴェネツィアの砦は地図右上です
<ヴェネツィアの砦は中世の瓦礫>
さて、怒涛のおばさまアタックをかわして二人が歩いていると、やがて視界が開けて右手に海が見え始めました。
…おお、青い!
昨日、飛行機の中からも見た筈なのですが、それよりも本当に青い。
青と言うより「藍」に近いかもしれません。
夕方なので、ほんのりと涼しい感じでした。(とは言え、まだまだ明るいんですが。)
海と同時に肝心の砦も見えてきました。
…ほほぉ、なんだかギザギザしていて「中世」な雰囲気ですな。(笑)
ヴェネツィアの砦。あんまりギリシャっぽくないですが、中世の建物です。
真ん中に描かれているのはグリフォン。下で「星矢」色の地元人の方が釣りに没頭中。(笑)
砦に向う道を歩いていると、前方になんだか凄く雰囲気のあるトンネルが見えます。
近くに行って見ると、こんな感じでした。
要塞とセットの(?)トンネル。非常に雰囲気があって良いです。観光客に大人気。(笑)
・・・・でっかい!筥崎宮の大鳥居並にでかい!(福岡ローカルネタ)
幽霊が出そうとか、陰鬱な雰囲気は微塵もありません。イギリスならともかく、なんと言ってもギリシャですし。(笑)
観光客が多いです。どうやらこのトンネルも含めて、この一帯は観光スポットみたいでした。
トンネルを通り過ぎて、ほうほうのていで道路を横断し(いや、ギリシャの車はビュンビュンスピードを出すので要注意なんです。
渡るのは至難の業。笑)、ようやく砦に続く防波堤の入り口に到着しました。
…ん?入り口に鉄の柵があるよ…?入れないのかな?
と思ったら、みんな適当に柵の横から入っていきます。
どうやら車の進入を防ぐ為だったようです。
ヴェネツィアの砦は、16世紀にトルコ軍の侵略を防ぐ為にヴェネツィア人が築いた要塞。
石造りの建物の内部には弾薬庫や貯水槽が残っているそうで、屋上には展望台があり非常に見晴らしが良いそうです。
(一時期、牢獄として使われていたこともあるとか。)
…が、砦の内部の見学は3時で終わり(有料2ユーロ)。入れるはずも無く、我々は横を素通りするだけでした。
「何て言うか、中世の瓦礫ってつまんねぇよなぁ。…まだ瓦礫になる途中の段階だしね。古い瓦礫じゃなきゃな!(笑)」などと
不届千万な事を言ったりして。(笑)
防波堤の内側には、地元のおじさんたちがのんびりと釣り糸を垂れています。
一体、何が釣れるんでしょうか?
一方、防波堤の外側は…すごい荒波!
クレタの北側は一応エーゲ海(本当は「クレタ海」)なのですが、想像を打ち破るほどの激しさでした。
えーと、そうですね、「日本海」までは行かないかもしれませんが、東北の太平洋側くらいの波です。
(わかるんかいな、その表現で)
海の色が藍色なのと相まって、「エーゲ海にいる」という気分よりは寧ろ「これがスニオン岬の荒波かぁ!」などと
思ってしまいました。(笑)
波は近くの岩に当って時折我々の衣服をぬらすほど高い飛沫を上げます。
…こんなカンジです。
「星矢」のスニオン岬並の高波。ここもエーゲ海なのですが・・・、意外!
結構、怖いでしょう?(笑)
ですが、やがて防波堤がドンドン高くなり、波も見えなくなりました。
左手に防波堤、右手に小さな湾を見ながらまっすぐ伸びる道を更に歩いて行きました。
湾には大型フェリーが停泊しており、船員さんが暇そうにデッキで筋トレをしています。
ふふふ、さすがは「星矢」の国、ギリシャだね、男に筋トレは必須ですよ。(笑)
海里君と他愛無い話をしながら防波堤の内側をひたすらまっすぐ歩いて、ようやく先端まで辿り着きました。
…と、ここで終わりの筈の防波堤の…更に向こうから人が歩いてくるではないですか!
えええ?どこから沸いてきたんだ!?
…ダッシュで先端まで走って見ると、先端だと思っていた所から海側に平行してもう一本防波堤が伸びていました。(笑)
いい具合に死角になっていたようです。
しかも、なんだか凄く向こう側まで道が続いています。
…こうなったら、行くしかない!(笑)
辺りはだんだん暮れかかっていましたが、なんだか無性に悔しいので二人はそのまま歩いてみることにしました。
もうどれだけ歩いているんだか、自分たちも考えたくなくなって来た頃、ようやく道の果てに辿り着きました。
…よっし、今度こそ本当に先端です。(笑)
先端に辿り着くと、湾も随分広くなっていました。辺りは静まり返り、もう釣り人の姿もありません。
先ほど横目にしたフェリーも本当に遥か彼方に見えるだけです。
湾の内陸側には、別の会社の大型フェリーが沢山停泊しています。
髪を悪戯に吹き抜ける心地よい潮風。
内陸に目を遣ると、三日月を浮かべ、薄紅に染まる遠くの山の上に丸い……丸い……ガスタンクか、あれは!?(笑)
…一気に失われる詩情(爆笑)
折角先端まで来たんですから、防波堤の上に昇って見ました。
本当に真っ青なクレタの海。すぐ足元なので怖いこと、怖いこと・・・。(笑)
……うぎゃあぁぁ、怖い、怖いよ兄さん!!
防波堤の幅が1m近くあるとは言え、下には恐ろしいほど濃い藍色の、激しいうねり。
日も暮れかかって薄暗い中では、その恐ろしさはいや増すばかり。
防波堤に腰を下ろして足を海の上に投げ出すと、吸い込まれるのが当然の如く思えてゾクゾクするほど不思議でした。
折角だし、写真撮ろうか……って、さっき買ったポスター、風で転がってるよ、海里君!
…ふ――、危ない危ない。(笑)
…レレレのレー!?
今度は管理人のカメラが上手く動きません。
こんなところで電池切れかよ!(笑)
慌てて専用の充電池を取り出し、普通のアルカリ電池に交換しました。
クレタの夕暮れを背に、管理人、ちょっとマドロス。…やはり風が心地良い。
……これが、クレタの海なんだ…。
なんと言う力強さ。
向こうにディア島がうっすら見えました。
明日には、もう此処を離れます。
…なんだか、もうちょっと沢山のものを見たかったな。急ぎ足でも良いから。
日暮れをバックに、おっかなびっくり写真を撮り終え、二人は防波堤を降りて元の道を歩き出しました。
解ってはいるんですが、長いんですな、これが。(笑)勿論、ネタも忘れません。
飛沫(左端)と言えば、お決まりのギャクを一発! 管理人:「…廬山昇龍覇!」
ながーい道程を引き返し、砦も過ぎてトンネルまでようやく戻ってきました。
…もう、時間は8時。
さすがに辺りはとっぷりと暗くなっていました。
街灯や車の灯りがさんざめいて、非常に煌びやかです。
トンネルも綺麗にライトアップされていて、遠くから見ても非常に美しいのですが、中に入ると更に綺麗だったのは
言うまでもありません。
道路側からライトアップされたトンネル。幻想的です・・・v
トンネルを過ぎて、元来た道をひたすら戻ります。
途中で管理人、なんとススキを発見!
ギリシャにもあるんですね、ススキ…!
ぷちまとめ:ギリシャで月見は可能!(笑)
<本日の晩餐>
さて、我らがエレフテリオス広場に戻って来ると、8時半を過ぎていました。
おお、程よくギリシャの晩飯時です。
…何気なく、自分たちが「ギリシャ時間」に慣れつつあることを自覚する二人。(笑)
さて、今日は何を食べましょうか?
…昼にちょっとギリシャ飯を食べたので、そろそろ他のものも良いかもね、と二人で広場のタベルナやレストランを
ざ――っと回ってみました。
エレフテリオス広場は飲食店が一角に纏まっているので、非常に便利です。
30分近く迷った挙句結局、二人が入ったのは一番ホテル側にある「Napoli」と言うイタリアンでした。
イタリアンとは言え、やっぱり最初にはパンが付いて来ます。
歩きつかれてお腹が空いていたので、取り敢えずそれをがっつく管理人。うま――い!(笑)
管理人は「カルボナーラ」とビールを頼む事にしました。
昨日、蟹さんに「ギリシャにいる間に、『ミソス(mythos=神話)』ってビールを是非飲んでくださいね!」と勧められたのを
思い出した管理人、メニュー表にも「ミソス」があることを確認して注文しました。
すると「あ〜、今無いんだ。『AMSTEL』(やっぱりギリシャのビール。どうやら外資らしい)だったらあるよ。」と言われたので
それを頼んでみました。
海里君は相変らず胃腸の調子が良くないので(昨日に比べると良い)、野菜のスープとピザを。
おおーう、やっぱり炭水化物ちっくな食卓…!(笑)
カルボナーラは、管理人にはちょっと柔らかかったかも…。
でも、海里君はこれくらいで良いと言っていたので、もしかすると管理人の好みのほうがおかしいだけかもしれません。(笑)
海里君のスープを分けてもらったのですが、色んな野菜をトマト味のポタージュ(ミルクっぽくない)に仕立てたような味で、
弱った五臓六腑に染み渡る旨さ!
運ばれて来たピザも分けてもらいました。
土台がふかふかでうま――――いっ!(満足)
やっぱり、パン同様、生地がしっかり練られているのでしょうか、物凄く美味しいです。
日本じゃありえない味でした。
そして何より驚いたのは、ビール。
「ミソス」のピンチヒッター(笑)で注文した「AMSTEL」でしたが、グラスに注いで一口。
………何だこりゃ、こんなに癖が無くて飲みやすいビールは初めてだ!(驚愕)
管理人は専らワインや焼酎、ウゾ派なのでビールは殆ど飲まないのですが、この「AMSTEL」にはびっくりしました。
兎に角飲みやすい!
管理人がびっくりしているので、不思議に思った海里君が「一口分けてくれ」と言って来ました。
口に含んだ海里君、「すげぇ、飲みやすい!旨いねコレ!」と絶賛。
胃腸の調子がなんとかとか言っていたにも拘らず、「一杯くれ」と瓶をもぎ取って自分のグラスに注いで飲んでいました。
無論、我々は広場に面したオープンテラスでご飯を食べていたわけですが、最初のパスタが運ばれて来た頃、
前の通りを歩いていた一人のおじさんが、手をあげて我々の方に歩いて来ました。
…あっ、さっきのカフェのおじさんだ!よく覚えてたなぁ!(驚)
おじさんは我々のテーブルの前に立つと、「どこから来たの?」とか様々な質問をしてきました。
我々が「日本人だ。」と言うと、「台湾人や中国人の知り合いはいるけど、日本人はあまり知り合いがいない。」と
もっと話をしたい様子でした。
…しかし、我々があまりにももぐもぐと食ってばかりいるので「あっ、じゃあまた後でね。」と行ってしまいました。
すみません、今、我々の口は食べるためにしか働いていない模様です。(爆笑)
そして、我々が粗方食べ終えた頃、後ろを見ると…後ろの席におじさんが座って店員とずっとくっちゃべっているではないですか!
なんと、我々が食事を終えるまでずっと待っていた模様。…いやはや、驚きです。
我々が清算を済まそうとすると、おじさんは「Slowly, slowly.」と言いました。
どうやら、これがあの有名な「σιγα - σιγα (シガー、シガー)」(ギリシャ語で「ゆっくり、ゆっくり」)のようです。
…確かに、我々も明日の出発が5:30でなければそうしたいところなのですが、
既に10時を回っているので流石にちょっと急いで見えるかもしれません。
まあ、しかし折角待っていてくれたのですし、ちょっと話をしてみました。
おじさんによると、一般的に日本人は冬はあんまりクレタでは見かけないねぇ、と言うことでした。
見かけないと言うよりも、島のツアーの取り扱い自体、冬はクローズしているので物理的に仕方がないことなのですが。(汗)
こっちだって、来られるものなら冬でもいいから来たいです…!(涙)
後、これからどこに行くの?と聞かれたので「サントリーニです。」と言うと、
「おお!なんてこった!あそこは物価が高んだ。」と嘆いていました。(笑)
きっと、クレタの人は「クレタが一番!」と思っているのかもしれないですね。郷土愛という物でしょうか。
昨日の「イカロス」のご夫婦にしても、さっきのおばさんにしても、そしてこのおじさんにしても、クレタの人はとても人懐っこいです。
日本では、概して田舎(いや、イラクリオンは都会なのか!?)の人は「素朴だけど、排他的」な感じを強く受けるのですが、
クレタの人たちは「素朴で、そしてとてもフレンドリー」という表現がぴったりでした。
なんだか、とても良いところですね…v
おじさんとはちょっとしかお話できませんでしたが、今度クレタに行く事があれば彼のカフェに寄りたいものです。
本日の夕食(管理人のみ):カルボナーラ…5.5ユーロ、ビール(「AMSTEL」500ml一本)…2.5ユーロ
計8ユーロ(チャージ料金不明)
さて、ホテルに帰る前に、…そう!スタンドで買い物です!(笑)
管理人、今日は更にエスカレートして「チョコチップの入ったヨーグルトデザート」と板チョコ、水を買いました。
お代、3ユーロ也。やっぱり安い!
ホテルに帰って、交替で風呂に入りながらチョコを一口。
うん、コクがあっておいしい!でも後味が残らない。
こりゃいい!土産もコレで決まりだね!(笑)
ヨーグルトデザートも思ったほど甘くなく、あんまり日本では出会えない味でおいしかったです。
ヨーグルトにチョコチップってのが意外に合ってました。
今日も食ってばかりでしたが、その分しっかり瓦礫も探検したし、海も歩いたからヨシ!(笑)
荷物をしっかり纏めた後、二人は今日も泥のように眠りに落ちました。