ROUND 2.6 二日目(3) アテネ・クレタ
9月16日(木)
<クレタ島は管理人サイズ>
5時15分過ぎ、クレタ島・イラクリオン空港に到着。
クレタ島は「準備」の項でも書きましたが、大変大きな島です。
そして、我らが父・ゼウス(違)の生まれた島でもあります。
クレタ島全図。縮尺に注意。とても2〜3日で回れる広さではありません。
兵庫県と同じ大きさの島なので、空港も4つあります。
島の観光地は北側に集中しているので、人口も殆ど北側に集まっています。
一番大きな街が今回訪れるイラクリオン(イラクリオとも。ローマ字ではIraklion,ないしはHeraklion。ギリシャ語ではΗρακλειον)で、
人口は12〜15万人。(本によって人口が違うぞ!一体何人なんだ。笑)
クノッソスなどの重要な遺跡はだいたいこのイラクリオンから近いところに点在し、
逆に西部のハニアやレシムノなどはビーチが一杯のリゾート地です。
イラクリオンに来る観光客はしたがって遺跡目当ての人間が多いようで、
サントリーニなどに比べるとわりかし地味(笑)な感じの方が多かったです。
さて、荷物を受け取り……って、出てこないよ、荷物!
信じられんほど巨大なターンテーブル(既に平らではなく斜めに作ってある)の前で待つこと15分、ようやく荷物が出てきました。
あっ、目の前にさっき前の席に座っていた湯婆婆が!…すごい!本当にそっくりだ。
アイメイクのきつさと言い、顔の輪郭と言い…!(笑)
同じく荷物を受け取ったIさんご夫妻と合流し、ゲートを出たところに現地のおじちゃんが二人ほど、ボードを持って立っていました。
鞄が大きいIさんの旦那さんと管理人はお二方に荷物を持ってもらい、一台のタクシーへ。
トランクにIさんご夫妻の荷物、海里君の鞄、と載せて………レレレ?管理人の鞄、入らんよ、絶対!
…と思ったら、おじちゃん、管理人のスーツケースをむりやり載せると徐に自転車の荷物紐を取り出して、
閉まらないトランクの蓋を固定しました。
………ぎゃああ、それはないよおっちゃん、ブレーキ踏んだら私の鞄落ちるって!(笑)
管理人が目を丸くしていると、おじちゃんニヤリと一言「No problem!ハッハッハ!」
いや、絶対問題有るって!(笑)
後ろが気に掛かって仕方のないまま、車は発車。
緩いカーブの度に管理人は後ろを振り向きます。
…空港でロストバゲージならまだしも、路上でロストバゲージなんて前代未聞だぜ、ドサンピン!(爆笑)
流石にIさんご夫妻も管理人の荷物が気に掛かった模様で、結局4人でずっと後ろを向いていました。(笑)
ホテルの手前で最後にぐい――んと長い昇り坂(カーブ付き)を昇った時は、管理人絶対「落ちる!」と思いました。
空港から5分強、本日のホテル「アストリア・カプシス」に到着。
車を降りていの一番にした事は…勿論自分の荷物の安否でした。(笑)
…無事でした。
おじちゃんに再び荷物を運んでもらい、フロントでチェックイン。
おじちゃんは愛想良く去っていきました。
イラクリオンの地図。変なホテル名が多くて笑えます。(ホテルはHが目印)
Lクラスのホテルの無いイラクリオンでは、アストリア・カプシスが最高級のホテルなんだそうです。
…と言われても、管理人たちに取っては泊まれておいしいご飯が食べられればなんだっていいんですが。(笑)
通された部屋は2F(ギリシャでは一階が0F扱いなので、この場合、2Fは日本で言う三階にある)で、
全体的に薄紫色のトーンの広い部屋でした。
管理人が4人は入るクローゼットの他にも、サイドボードや鏡台、TV台の下などに無尽蔵に収納スペースがあり、
二人を驚かせてくれました。(笑)
部屋はエレフテリオス広場に面していたので、窓を開けると広場の賑やかな風景が眼前に………おおい、このドア壊れてるよ!(笑)
レバーを捻って外に開けるドアのはずなのですが、蝶番が外れていてドアの上半分が既に薄ら開いています。
これ以上開かないので泥棒の心配もなさそうですが(笑)、虫とか入ったらいやですなぁ…。
とりあえずここ2日分の洗濯をし、クローゼットに干して外出の準備をしました。
(ギリシャのホテルに限らないのかもしれませんが、ホテルの浴室は空調が無いので浴室内に物を干すと永遠に乾きません。
意外にクローゼットに干して戸を開けっ放しにしたほうが乾きます。)
アストリア・カプシスのバスルーム。ガラスが可愛いです。
貴重品(でかい現金やT/C、パスポート)を部屋のセーフティボックスに入れ、着替え終わる頃には夕方の6時半近くになっていました。
…が、まだまだ明るいです。9月下旬の日没はだいたい7時半くらいです。
お店もまだやっているので、二人で夕食がてら散歩に出ました。
ホテルの外にはやはりスタンドがあったので、帰りに何か買おうぜ、とチェック。
すぐ隣のアクセサリー屋が「ゼウス」という名前だったのが非常にツボでした。(笑)
半円状のエレフテリオス広場を囲むように、アクセサリー屋、土産物屋、カフェ、タベルナなどが軒を連ねているので
辺りは本当に賑やかです。
何件かアクセサリー屋を物色した所で、海里君が酔い止めが欲しいと言い出したのでドラッグストアへ。
ギリシャの薬局は軒先に緑色の十字を象った小さい電光看板があるので、だいたいすぐわかるはずです。
普通の薬は処方箋が必要とあってか、薬局の中は意外と物が少なめでした。
ここで緊急事態発生!…「乗り物酔い」って英語で何だっけ!?(笑)
胃痛とか頭痛とかなら簡単に思い出せるのに、「乗り物酔い」が出てこない…!
とりあえず真っ直ぐレジに行き、「飛行機に乗っている時に胃が気持ち悪くなって…」等と二人で色々と英語で解説しているうちに
酔い止めを買うことができました。
御代、一箱で1ユーロ強也。…安い!
そうでした、「travel sick」でしたよ、乗り物酔い。(ないしは「air sick」)
また一つ賢くなりました。(笑)
酔い止めも買ったので、夕食にしようということになりました。
蟹さんに聞いていたオススメのタベルナのうち、いくつかが近くにあるのでちょっと遠巻きに覗いてみました。
ギリシャの夕食の時間は、シエスタが挟まっているので遅めです。
だいたい夜8〜9時ぐらいから始まり、日付変更時間近くまで食べていることもあるようです。
従って、タベルナも営業時間は夕方〜深夜2時くらいまでと、スタンドよりも遅くまでやっているのが一般的。
クレタのような田舎(?)でもアテネでもこの営業時間は殆ど一緒なので、
旅行者にとっては食事の時間を一番最後に回してゆっくり買い物や観光ができるのは非常に利点です。
さて、今回夕食に選んだタベルナは、エレフテリオス広場をちょっと脇に入ったところにある「イカロス」です。
…しょっぱなからネタでヤル気満々です、管理人。(笑)
カフェテリア席の入り口(?)に置いてあるメニューを見てなかなか良心的なお値段でしたので、
気がついて客引きにでてきたメガネのかっちょいいお兄さん(ちょびヒゲの生えたオーランド・ブルーム風)に引かれて席へ。
ギリシャ人は外で飯を食うのが大好きなので、カフェテリア席が殆どです。
ムサカ(ナスのミートソース挟み焼き。上にはベシャメルソースの層があり、一番上にチーズが乗っている)を頼もうとしたら、
残念なことに品切れ。
替わりに「トマーテス・イエミステス(Ντοματες υεμιστες。所謂スタッフドトマト。米が入っている。)」を頼み、クレタ風サラダ、
そしてここで海里君御希望の「サガナキ」を!
「サガナキ(Σαγανακι)」とはひらべったいチーズを揚げたものなんですが、ここで重要なのは名前!
だって「サガナキ」ですよ、奥さん!(みの〇んたのマネ)
…こんなネタな物まできちんと前以て調べておくあたり、我々のアホさ加減が光ります。
後は飲み物。海里君はミネラルウォーター、管理人はレチーナを。(松脂香りの付いた白ワイン。クレタの特産。
…なんと、タベルナで一本飲んでも4ユーロ!…安い!!)
チャージのパンを齧りながら待っていると、料理がいっぺんに全部出てきました。
…早〜い!
まずはサガナキを一齧り。…うまーい!レチーナに良く合います。
味付けは塩だけみたいで、衣(?)としてくっついている卵がまたおいしい!
ここで管理人、「…いや、なんでもない。」とギャグを一発。
…「サガ泣き」だしな!(笑)
スタッフドトマトも非常にあっさりしていて美味。
オリーブオイルを使っているのに、イタリアンよりも味があっさりしているのが不思議です。
中の米が、トマトの凝縮した味を吸収していてこれまた絶品!
クレタ風サラダは、所謂グリークサラダに近いものでした。
散らしてあるチーズが、フェタとはちょっと違うようです。このへんがクレタ風なのでしょうか?
野菜たっぷりでおいしいのですが、管理人がびっくりしたのがキュウリ。
実は管理人、キュウリがあまり好きではない(食べられますがニオイがあまり好きではない)のですが、…こりゃウマイ!
日本のキュウリより水分が遥かに多く、ニオイはきつくないのです。
珍しいことに、キュウリばかりつつく管理人の姿がそこにありました。(笑)
我々が出てきた料理に舌鼓を打っていると、徐に管理人の肩を誰かがポン、と叩きました。
顔を上げると、隣にIさんご夫妻がたっていらっしゃいました。
どうやらご夫妻も今夜の食事は此処になさる模様。
管理人達のテーブルの二つとなりに座られました。
それから間も無く、今度は中年のおじさんとおばさんが管理人達の席にやってきました。
お二方とも非常に良い体格をなさっています。
どうやら、彼らが此処の経営者のようです。
おばさんが手にした昔の「地〇の歩き方」を我々に開いて見せてくれました。
おばさん:「ほーら、ここにウチのお店載ってるでしょ?」(以下勿論英語)
管理人が頷くと、写真の中の細くて髪フサフサで若い男の人を指差しました。
おばさん:「このカッコ良い男の人はだぁれでしょう〜〜?」
そして隣にいる丸々とした旦那を指差し
おばさん:「この人なのねぇ〜〜〜!昔はこんなに髪の毛フサフサだったのに、今ではホ〜ラ、こんなにピッカピカ!」
旦那も自分の頭を指差します。
…勿論、全員で大笑い。
更に
おばさん:「さあ、この写真の若い女性はだぁれでしょう〜〜〜?(自分を指差して)実は、わたし〜〜〜!
昔はこぉんなに細かったのに、いまではこんなに太っちゃったのぉ〜〜〜!」
再び全員で大笑い。
…なんだか、禿げていようが太っていようが、こんな感じでおおらかに楽しく歳を取っていけるのであれば凄く幸せだなぁ、
と管理人心が温かくなりました。
このご夫妻、とても親日家で且つ勉強家の模様です。
その後、彼女に聞かれたのが、「ねえ、(スタッフドトマトを指差して)コレ、日本語で何て言うの?教えて??」
…これには思わず我々も唸りました。
管:「なあ、海里君よ、『肉詰めピーマン』ってのは聞いたことあるが、その調子で『米詰めトマト』とは言わないよなぁ?」
海:「普通に『スタッフドトマト』でいいんじゃないかい?」
管:「…いや、きっと彼らは厳密に対応した日本語が知りたいんじゃないかなぁ、『スタッフドトマト』じゃなくてさ。」
海:「でも、『米詰めトマト』はヘンだよ、あきらかに。」
二人が唸っていると、おばさんも笑って「じゃあ、後でもう一回聞きに来るからそれまでに考えておいてね――v」と去ってゆきました
その後、席のすぐ側にかわいい黒猫がやってきたので「ジョバンニ」と名付けて二人で可愛がりました。
(ますむらひろし版「銀河鉄道の夜」ネタ)
黒猫のジョバンニ氏。(違)ギリシャのネコは人懐っこいです。
食べ始めて一時間半が過ぎた頃、最初のお兄ちゃんが「サービスね」と二人に一杯づつお酒をご馳走してくれました。
多分、「ラキ」と言うクレタ島特産の蒸留酒だと思われます。
ただ、アルコール度数が40度くらいあるので、海里君は一舐めでダウン。
レチーナを一本飲んで酒が無くなった管理人が二人分のラキを飲み干しました。…美味!
食事も終りかけた頃、予告通りにおばちゃんがやってきました。
「ど〜お?考えてくれた?」と言うので、管理人と海里君、協議した答え(笑)を聞き取りやすいように大声でゆっくり叫びました。
「トマトのごはんづめぇぇぇ〜〜〜っ!」
…辺りにわんわん木霊してました。(爆笑)
隣に座っていらしたIさんご夫妻に、図らずも昼に続いて爆笑されてしまいました。
でも、彼女はきちんとそれをメモに取ってました。
…皆様、合ってますよね、「トマトのご飯詰」で!(笑)
あっ、この時気付いたのですが、ギリシャ人は「トマト」って発音します!
「トメィト」じゃないんですよ。(…ありゃ英語の発音だから当たり前だ!)
2時間以上かけてゆっくりご飯を食べて、二人はホテルに帰ることにしました。
本日の夕食:
クレタ風サラダ、サガナキ、トマトのご飯詰(笑)、ミネラルウォーター、レチーナ一本(500ml)
……18.8ユーロ也(チャージ込み、二人分)
同じ内容でも、日本で食べたらもっと掛かりますよね。
ギリシャの物価の安さに二人とも感激!
…結局、日程中の夕食代はこの「イカロス」が一番安かったです。
肉類や魚類を頼んでいないのもあるんでしょうが、本当にこちらのお店はオススメです。
…そして、勿論スタンドで食料の調達です。
水(500ml)とヨーグルト(250g入り)、牛乳(500mlパック)を買って2.5ユーロでした。
…本当に物価安いよ、ギリシャ!イギリスなんて…!(感涙)
流石に夜10時を過ぎていたので貴金属店やお土産屋は閉まっていましたが、
露店やスタンド、カフェ、タベルナは絶好調営業中でした。人も沢山。
交替で風呂に入って部屋から広場を見下ろすと、まだまだ夜はこれから状態で老若男女、遊んだり話に興じていました。
…元気だなぁ、ギリシャ人…。←お前もな!
タベルナであまり食事を取っていなかった海里君(和食が恋しかったらしい)、鞄から「お湯で戻るわかめご飯」と
味噌汁(粉末)を取り出してフロントから貰ったお湯を使ってほくほく顔で食事をしていました。
…え?管理人は風呂上りに牛乳を。(笑)
…んっか――、うっま―――い!(既に親父化)
ギリシャ、牛乳も最高!やっぱり低温殺菌のような風味でした。
総摂取カロリーは考えたくないほど食ってばかりの一日が今、ようやく幕を下ろしたのでありました。
エレフテリオス広場から、夕方のイラクリオンを臨む。