ROUND 1  一日目(1)







9月15日(水)




       <成田の売店はデス・トラップ>

   朝八時過ぎ、寝たんだか寝てないんだかよく解らないうちに起床。
   機内用重装備(防寒と言うより重量対策なのが情けない。笑)に着替え、乾いた水着などを鞄に詰めて最上階のレストランへ。
   B・Aの機内食が一体いつ出てくるのか甚だ不明なので海里君と二人、もりもりバイキングの朝食を食べました。
   一応、しばしの別れと言うことで、味噌汁なぞを飲んでみる管理人。
   …おや、これは味噌汁と言うよりも豚抜き豚汁では…。(笑)


   11:05に成田第一ターミナルに出頭(違)となっていたので、10時ジャストくらいの送迎バスに乗って
   「マロウド・インターナショナル成田」を後にしました。
   …雅の世界は今一感じられなかったけど、とりあえずありがとう、マロウド!(笑)


   送迎バスは手前の第二ターミナルで大半の客を降ろし、その先の第一ターミナルへと向かいます。
   …ううむ、何か微妙な心地です。(笑)


   管理人と海里君、第一ターミナルに降り立ちました。
   さぁ、いざ行かん、神話の国、ギリシャへ!
   …の、前に。
   予約していた海外携帯を引き取るため、管理人は海里君を置いてDoCoMoのカウンターへ。
   ふふふ、このレンタル代を安くあげるために管理人はわざわざMOVAからFOMAに機種変したのです。(半額以下になる)

   …あれ?引き取りカウンターってどこ?(笑)

   管理人、だだっぴろいターミナルをジュテで一周(嘘)してまた海里君の待つ椅子まで戻ってきてしまいました。(笑)
   このままだと一向に埒が開かないのでインフォのお姉さんに訪ねてみたところ、「QLライナーのカウンターですよ」、とのこと。
   …さっきナチュラルにスルーしたところじゃないですか…。
   もっと分かりやすいように表示してくださいよ、DoCoMoさん…。


   よーく見ると小さな看板が掲げられたカウンターでレンタル携帯を受け取り、管理人は海里君の元へ。
   折り良く指定された時間になったので日〇旅行のカウンターに向かいました。
   ここでこれから先の諸空港の使用料、しめて22050円を別払いしました。
   …くっ、これだけの金額が旅行代金とは別徴収と言うのが非常に痛いです。(涙)
   経由する国によりこの金額は大きく異なって参りますので、皆様もお気を付け下さい。
   (ちなみに、イギリスは非常に高いほうです。こんな所で二人に無意味に発生する反英感情。笑)
   空港の使用料を納め、これから先の航空チケットの束を貰います。
   …ほ、本当にこれが分厚い。8回分の搭乗券+領収書がセットになっているので驚く程厚い物体になっていました。
   鞄に入れると重いんですが、こればかりは持ち歩かないと危険ですので我慢我慢。
   ちなみに、こちらの日〇旅行カウンターに辿り着いた時、どうやら韓国行きツアーと思しき男女の群と一緒になりました。
   ……どうやらギリシャ行きの人間は我々だけの模様です。
   うーん、やはり最小催行人数ぎりぎりなんでしょうか…?(遠い目)


   日〇旅行のカウンターの斜め後ろにB・Aのカウンターがありました。
   カウンターのお姉ちゃんは英国の方と思しき様子。
   此処から既に海外旅行が始まっているんだなぁ、としみじみ思いながら荷物を預けました。



   カウンター群の柵を出ると、後は出発まで自由時間です。
   …まだ一時間半くらいあります。正味一時間位は遊んでいても大丈夫でしょう。
   管理人と海里君の二人はそのまま出発ターミナルの売店群に突撃しました。
   成田の売店は流石に色んな品揃えで我々の眼を楽しませてくれます。
   …フィルム関係や旅行用品、鞄、薬局にカフェ、ロー〇ンまで。お土産屋も大変充実していました。
   …と、管理人、ある土産屋の回転陳列棚の一番下に光よりも速い速さで注目!(笑)

   ………「犬夜叉」のエンピツだぁぁぁ!しかも殺生丸のイラスト入り!!(爆笑)

   普段だと絶対視界に入らない高さにひっそりと置いてあったのですが、管理人の目敏さはそれ以上でした。

   …これ、今は手に入らないブツなのですが…どうしよう……欲しい…。(笑)

   管理人よ、日本を出発しようと言うこの時にエンピツを1ダースも買ってどうするつもりだ…。(笑)
   半ば呆れる海里君を尻目に、管理人は屈んだまま本気で頭を抱え込んでいました。
   …いや、今荷物を増やしてもしょうもない…。
   ここはグッと堪え、管理人は立ち上がりました。
   …しかし、此処のお店、所謂「日本グッズ」のお店だったんですが、どうして犬夜叉のエンピツが…。
   まあ、ある意味日本文化ではあるんでしょうが。(笑)


   その後も色んな「日本らしいもの」を売るお店を覗いてみたのですが、
   歌舞伎もビックリのスゴイ原色ド派手柄の浴衣(サテン地)とか、
   明らかに間違った日本文化を植え付けそうな品揃えに二人で大笑いしました。
   …まあ、でもこれって我々がギリシャで「GREECE」などの文字の入ったTシャツを買うのと
   大してレベルが変わらない訳ですよね。…たはは。


   売店を一通り見終わった後、上のフロアのデッキに出ました。
   …あちこちにカップルや子連れの姿が。
   ううむ、なんかこんな所でカーゴパンツの探検隊のような服装をしている管理人とジーンズの海里君、微妙に浮いてます。
   結局5分も居ないうちに、チェックインのゲートに向う事にしました。


   二人とも無事にキンコンゲートを通過し、まだ時間があるので免税品店でも覗いてみるか、と向おうとした矢先……
   うっ、なんか微妙に腹が痛…い…。
   イヤな予感がした管理人、トイレに駆け込むと…ああ、やっぱり。(涙)
   日程中のどこかで来るだろうとは思っていたのですが、初日に来てしまいました。(汗)
   まあ、これだと機内で大人しくしてさえいれば、後はどうにかエーゲ海で泳ぐこともできそうですし、
   ある意味良かったと胸を撫で下ろしました。
   売店で必需品(笑)を少し購入し、血糖値対策にヴェルタース・オリ〇ナルを買って免税品店を二人で覗きました。
   …勿論、何も買わないんですが。荷物が重くなるだけですし。(笑)



   時間の30分くらい前になったので、搭乗ゲートに急ぐと既に人だかりが。
   6割日本人、4割外国人(多分英国の方…?)という比率でしょうか。
   中には車椅子の方がお一人いらして、介助と思しき人が二人ほど付いています。
   「…?」と思ったのですが、この方についてはまた後で。


   間も無く搭乗開始。続々と人が吸い込まれて行きます。
   海外の会社の飛行機はアシ〇ナ航空(笑)以来の管理人、ちょっと緊張しました。
   エコノミーの座席は3・4・3の一列10人配置。
   管理人と海里君はかなり後方の真ん中4人席の左通路側とその隣でした。
   座ってみると、…狭い狭い狭〜〜〜いっ!(涙)
   国内線よりも更に狭く、小柄な海里君はともかく、既に英国サイズの管理人はまったく身動きが取れません。
   これではエコノミークラス症候群になるのも頷けます。
   普通の日本人は良いとしても、この狭さだとイギリスの方はカンヅメ状態になるのではないでしょうか?
   …そして景色が全然見えん…!(涙)








      <眼下に拡がる光景は…>

   飛行機は定時13:05にテイク・オフ。
   さらば日本、しばしの別れ…!…寧ろ帰って来たくないぞ!(笑)
   国内の移動もここ数年は飛行機ばかりの管理人はなんてことは無かったのですが、
   あまり飛行機に乗る事の無い海里君は早くもちょっと気分が悪そうです。
   これから12時間のフライトに入ります。

   機内には一席づつ液晶ディスプレイが設置してあり、映画などが楽しめるようになっておりました。
   …でも、面白そうな映画がない上、字幕も無いんじゃちょっと…。
   結局、「MAP」のチャンネルに設定して現在の位置を確認するくらいしかやることがありませんでした。
   しかし、地図を見ているうち、管理人は有る事に気付きました。

   …この飛行機、シベリアの上空を通るよ……!!(嬉)

   フライトのマップによると、どうやら機体はシベリアを通って北欧上空を抜け、英国に至る模様。
   …うわぁお、ギリシャに行くのにシベリアとアスガルド(?)も楽しめるなんて!なんて「星矢」な旅!!
   我が師と弟子が修行している真上を通れるかもしれん、と二人で盛り上がりました。(笑)
   この時、まだまだ新潟上空だったんですが。(笑)



   機体がウラジオストック上空に掛かった頃、最初の機内食が配られました。
   チキンのペンネか和食を選べ、と言われたので二人ともペンネを選びました。
   どうやら和食はほんのり温かい状態だったようですが、ペンネはアツアツ状態でした。
   パンとサラダ、デザート、水が付いており、後はお好みのドリンクが付きます。
   どうせ寝るんだからという理由で、管理人は赤ワイン、海里君は白ワインをチョイス。
   ロシア上空で優雅な一時です。(座席狭いけどな!)
   赤ワインはオーストラリア産だったのに比べ、白はなんとボルドーでした。
   …何故だ、何故ボルドーで白!!(笑)
   「はっはっは、シベリア手前でボルドーのワイン。まさに我が師。」と喜ぶ海里君。
   うーむむ、なんか釈然としません…。(笑)





ペンネがアツアツ!

海里君の機内食。白ワインがボルドー。(笑)






   食事が終りかけた時間になると、今度は食後の飲み物の配布が始まりました。
   「Tea or Coffee ?」と言う順番に思わず英国の魂を感じる管理人。(勿論、紅茶党)
   やはりB・Aだけのことはあります、巨大なポットから注がれる紅茶は最高でした。
   そして、一緒に付いているミルクの巨大さも特筆に価します。
   (日本のコーヒーフレッシュの4倍くらいの大きさでした。パッケージのデザインはそのままで)
   ちょっと舐めてみたところ、エバミルクみたいなちょっと濃い牛乳の味がしました。


   食事が終ると照明が若干落され、窓を閉めるように指示がありました。
   我々の飛行機が成田を出たのは昼1時過ぎですが、ロンドンに到着するのも夕方5時過ぎです。
   つまり、我々は太陽を追いかけてフライトしているため、外は12時間ずっと昼間状態です。
   寝たい人に取っては非常に迷惑この上ないため、窓を閉めて照明を落す訳です。

   …が!

   もうすぐシベリア上空なのに我々二人が大人しくしている筈がありません。(笑)
   機内の一番後ろのトイレ群(4つ)の両脇の窓だけは自由に開けて外を見られるようになっておりました。
   早速トイレがてら窓を覗きに行く管理人と海里君。
   …しかし、ヒマな機内でやることが無いのは皆同じなのか、窓にはすでにシベリアを見ようという乗客が数人ひしめいていました。
   ちょっと替わってもらい管理人が下を覗いてみたところ…うーむ、雲の塊。(笑)
   よーく目を凝らしていると、所々に大地が見えます。どうやら氷の海はまだ見えなさそうです。


   海里君としょうがなく席に戻り、ディスプレイのチャンネルを変えていると明らかにベトナムロケっぽい嘘つき中国映画をやっておりました。

   「おー、おー、明らかに騙してるね。西洋人を。」

   と二人で大笑い。…あっ、しかもジャッ〇ー・チェン主演…。(笑)
   ベトナムとチベットを足して割ったような土地で、お婆さんが北京っ子式に酒を飲んでいました。
   タイトルが解らず終いでしたが、一体なんと言う映画だったのでしょうか?
   こんなものをチョイスするとは、流石は天下の大英帝国の航空会社です。(笑)


   その後も30分おきくらいにちょくちょく窓を覗きに行くうちに、窓の側に座って話に興じている初老のおじさま(おじいさま?)3人組と
   少し仲良くなりました。
   彼らも外の景色を楽しんでいるご様子。
   「あんたたち、どこに行くの?」と訊かれたので「ギリシャです」と管理人が応えたところ、
   どうやら彼らもギリシャに行くらしい事が発覚。
   …いくらB・Aとは言え、やっぱりイギリス以外の国に行く方もいらっしゃるということでしょうか。
   その点を踏まえて周りをよーく観察すると、隣の方のガイドブックは「地〇の歩き方 アイルランド」でした。
   ギリシャの青い海も良いけど、アイルランドのどんよりした灰色の海も良いですよなぁ…。
   と、ちょっとケルト好きの管理人、目が遠くなったり。(笑)



   さて、何度か窓にトライアルしていましたが、とうとう北極の海の上に出ました!
   良い具合に雲も切れ、遥か下界に目を凝らすと…見えます、海に浮かぶ氷山群が!!






みーずうみにうかぶ〜はーくちょうはぁっ♪

下の白いつぶつぶが氷の塊。青い所は海。 氷河:「…マーマがこの下に…。」カミュ:「…死ぬな。」






   管理人と海里君がバシャバシャ写真を撮っていると、他の方もどうやら気付かれた様子で窓の近くは大混雑でした。
   …あああ、あの氷の上でアイザックと我が師と氷河が修行をしているのか…!
   この間、管理人の頭の中では「氷原の貴公子」が大音量でずっと響き渡っておりました。(爆笑)
   …おっと、水晶先生もお忘れなく!(笑)


   暫く人だかりが築かれていた窓も、やがて人が居なくなりました。どうやら氷は見えなくなったようです。…残念!


   席に戻った二人ですが、なんとなく眠れないので(特に管理人。乗り物の中で眠れない体質)小声で
   「国文学しりとり」を始めてみたり。(笑)

   海:「『伊勢物語』。」
   管:「『り』………。『離洛帖』。」
   海:「『う』……。『雨月物語』。」
   管:「『り』?また『り』かよ!?(笑)…なあ、『物語』が付くやつはその手前からって事にしない?」
   海:「おー、了解。」

   …ロンドン便で本当に何やってるんでしょうか?…いや、多くは語るまい。(笑)



   やがて海里君が眠くなったようなので、管理人の生物学的状況を踏まえて席を交替(管理人が通路側へ)し、事なきを得ました。
   …2〜3時間おきにトイレに行かないといけないというのもちょっと辛いです。(涙)
   どうにか自分を騙して2〜3時間ほど眠った管理人、その後は一人で窓を覗いたりとちょっとした一人旅気分を数時間楽しみました。


   ロンドン到着4時間前くらいになると、また機内に灯りがともりました。
   寝ていた人にはちょっと可哀相ですが、なんと言ってもロンドンは昼の1時ですからここはそろそろ起きておいた方が良いでしょう。
   そして管理人……飢餓と闘っておりました。(笑)
   前の機内食から経過する事7時間程度。腹の虫も騒いで当然です。
   「到着前に軽食が出ます」とアナウンスがあったものの、それが出てくる気配は微塵も感じられません。
   起き出した海里君と二人、「お腹すいたよなぁ〜〜〜。」と唸っていると、何やら前方のキャビンから良い香りが。
   カップヌードルミニ(シーフード)を手に、割り箸を咥えた白人のお兄ちゃんが目の前を通過しました。

   …なにィ、かっちょ良い…!じゃ、なくて(笑)。そうか、あそこに行けば食い物に有り付ける…!

   管理人と海里君がキャビンをおそるおそる覗いてみると、そこには数人の同志(笑)が食べ物を物色しておりました。
   カップヌードルが欲しかったのですが、お湯が何処にあるのか不明でしたので、しょうがなく菓子盛りのコーナーに行きました。
   先客のおねえちゃんたちが凄い勢いでお菓子を鷲掴みにしていましたが、
   英国人のアテンダントから「お菓子は一人二つまで!(英語)」と遠足のおやつ状態でボコられていました。
   我々は大人しく、一番腹にたまりそうな重量系お菓子を二つづつチョイスして席に帰りました。



   お菓子を食べてちょっと一息ついた頃、ようやく軽食が配布されました。
   …フライトなんて座っているだけなのに、どうしてこんなにお腹が空くのでしょうか?
   ええ、ブロイラーになるぞと分かっていても、食べずには居られないんです。(笑)
   軽食ではパニーニが出たんですが、…おおお、うま――――い!う――ま――い――ぞ――!(味〇様化する管理人)
   サクっとした歯ざわり、とろけるチーズ…!
   空腹も手伝ってか、思わず二人でがっついてしまいました。(笑)





うーまーいーぞー!

味〇様もビックリの激ウマパニーニ






   ちなみに、管理人と海里君とでは具が違っていた(ハム&チーズと照り焼きみたいなもの)ので、二人で仲良く半分こです。
   写真では伝えきれないこの旨さ…!「大英帝国万歳!」と二人で喝采。ゲンキンな奴らです。(笑)
   おやつのマフィンまでがっちり食べて機嫌も良くなった頃、機体はフィヨルド上空を通過していた模様ですが、
   人が多かったので窓を見に行くのはやめておきました。